証券会社で株式投資用の口座を開設したら、次はいよいよ株の売買です。
しかし、どのように株を注文したり売ったりすればよいのでしょうか。このページでは、株の売買について解説します。
買い注文を出す前に最低限決めておくこと
買い注文を出す前に、以下の2点について決めておきましょう。
①どの銘柄を何株買うか決める
注文への第一歩は「どの銘柄」を「何株」買うか決めることです。決めるには資金も大きく関係してきます。
詳しくは「銘柄の選び方」を参考にしてください。
②注文方法と注文の有効期間を決める
買う銘柄が決まったら次は注文方法と有効期間を決めます。
ちなみに、注文方法には「インターネット取引」と「対面取引」があります。
「インターネット取引」はインターネットを通じて売買する方法です。
一方「対面取引」は、証券会社の営業マンを通じて売買する方法です。最近ではインターネット取引が活発になっています。
<参考ページ>
注文方法にはどんな種類があるの?成行・指値・逆指値注文って?
注文方法には「成行注文」と「指値注文」、「逆指値注文」があります。
「成行注文」とは、株を購入する際に、指値注文とは異なり「いくらでもいいから、とにかく買いたい」と、価格をなりゆきまかせにして注文することをいいます。
株価が上昇気流にあって、少しでも早く買いたいという場合などに使います。
注文を出した順に取引されていくので、自分より先に多くの買い注文が入っている場合、表示されている一番安い価格では買えないこともあります。
成行注文は、価格よりも買うことを優先した注文となるので、場合によっては、思った以上の高額で購入しかねないというリスクがあります。
そこで、成行注文をする場合は、株価の板情報を見て、売り注文の状況をしっかりチェックしましょう。
板情報とは、それぞれの銘柄ごとに、いくらでどれだけの数の売買注文が出ているかを表にしたものです。
インターネット上で確認ができ、どの価格で売買注文を出せば取引できるのか、判断材料になります。詳しくは下記で解説します。
買う銘柄をあらかじめ決めておき、相場の成り行きで売り注文で一番安い株価(売り気配値)で買う注文のこと。
メリット:注文を出せば、ほぼ取引が成立。投資のチャンスを逃さない。
デメリット:値動きや出来高によっては、予想以上の高値で購入することも。
価格を指定して注文を出すことを「指値注文」と言います。
例えば、現在1株502円の銘柄の株が500円になったら買いたいと思えば、「500円で買いたい」と指定するのです。
価格を指定するのですから、株価が500円以下にならなければ、取引は成立しません。
自分より高い価格を指定している人の買い注文から先に取引が成立していきます。
そこで、その注文をいつまで出しておくのかの期間指定が必要になります。
その日のうちに取引が成立しなかった場合、翌日、価格を上方修正してでも購入したいと思えば、注文の有効期限を「当日中」にしておきます。
反対に、何日かはその価格での購入を試みたいという場合は、期間を指定します。
指値注文の利点は、市場での株価の動きが激しく、想定外の高価格で購入するリスクを回避できることです。
株式市場では、株を安く買って高く売ることで儲けを得るのですから、少しでも安く買うことが重要ポイントです。
指値注文は、ビギナーには安心の注文方法と言えるでしょう。
【指値注文】
買う時の株価を指定しておき、その価格以下になったら購入する注文方法。
設定した買値以下での売り注文がなければその株は買えないため、注文の有効期間も設定する。注文が成立しなかったら失効(注文の取消)になる。
メリット:購入価格をコントロールでき、高く買うリスクを回避できる。
デメリット:株価が指定した価格にならなければ、いつまでも購入できない。
ことを「逆指値注文」と言います。
通常、指値注文をする際には、「株価が〇〇円下がったら買う」「株価が〇〇円上がったら売る」と指示を入れますが、逆指値注文では、それと逆の指示を入れます。
例えば、注目している銘柄が上昇トレンドに乗りそうな時に、「〇〇円まで価格が上がったら買う」と指示を入れます。
予想通りに上昇した場合は、その注目株を手に入れることができます。
その後、株価の上昇が進んだところで、タイミングを見計らって売却すれば、利益を確定することができます。
また、保有株が値下がりして下降トレンドに転じそうな場合、タイミングよく損切りをするために、売り注文で逆指値をします。
「〇〇円まで下がったら売る」としておけば、予想に反して上昇した際には、株を手放さずにすみます。
残念ながら、予想通りに下降することになれば、損失が大きくなる前に、株を手放すことができます。
株初心者の場合、思い切りよく損切りするためには、逆指値注文を使う方がタイミングを逃さずにすみます。
【逆指値注文と指値注文との違い】
逆指値注文は、通常の指値注文とは反対の指示を出す注文方法。
■買い注文の場合
逆指値注文→指定した価格より株価が高くなったら「買い」
指値注文→株価が指定した値段より安くなったら「買い」
■売り注文の場合
逆指値注文→指定した価格より株価が安くなったら「売り」
指値注文→指定した価格より株価が高くなったら「売り」
売り注文も買い方もどちらも注文方法は基本的に同じです。
どの銘柄を何株、どの注文方法で(有効期間も)売るかを決めて、取引画面に入力していきます。
板情報を見て売買金額を考えよう!
『いくらで買いたい(売りたい)と決めておいて、その値段がつくまでじっと待つ』のは、最初のうちはいいのかもしれませんが、株価は勢いがつくとどんどん動いてしまいます。
ネット証券では、リアルな相場を見ながら注文できます。
注文する際にぜひともチェックしたいのが「板情報」の画面です。(単純に「板」と呼ぶ投資家もいます。)
「板情報」を見れば、現在、どの値段に何株の注文が入っているのかが一目で分かります。
真ん中縦列は、売りたい人、買いたい人が希望している値段です。これを気配値といいます。
気配値を挟んで、売り注文(売気配株数)、買い注文(買気配株数)があります。
ここに並んでいるのは「この値段で売りたい・買いたい」という意思表示であり、まだ取引は成立していません。
そして、最後に売買が成立した株価が「現在値」です。この現在値が売買注文を出す時の基準の一つとなります。
上記の図では、219円で46,000株が売りに出されている一方、「218円なら買いますよ」という買い注文が35,000株分出ています。
このままの状態であれば株価は動きませんが、どちらかが妥協することで値段の変動と共に取引が成立することになります。
ここで、もしあなたが218円で5,000株の買い注文を出せば、板は以下の図のように変化します。
218円での買い注文が「35,000株」から5,000株増えて「40,000株」になりました。
この状況では218円で売ってくれる人が現れない限り、あなたはこの株を買うことはできません。
しかも、あなたより先に218円で出された買い注文が35,000株もあります。
株は、同価格なら先に注文を出した人から売買が成立するルールがあります。
注文が成立するか、取り消されると、その注文は板から消えていきます。
つまり、あなたは前に並んだ注文が消えていく(成立するか、取り消される)まで待つ必要があります。
また、それぞれ上下8本の注文状況が表示されているので、売りが多いのか、買いが多いのかが一目瞭然となっています。
値動きの基本として「買いたい人が多ければ株価は上がり、売りたい人が多ければ株価は下がる」考え方があります。
そのため、板を見て買い手が多いなら、目先では「この株は上がりそうだ(まだ下がりそうにない)」ということがわかります。
反対に、「売りたい人が多いから値下がりしそう」といった相場読みも可能です。
日々、短期の売買を行っているデイトレーダーも板情報を参考にして売買しています。
指値注文を出す場合、この板を見れば、「大体この値段なら約定(売買)できる」といった見当もつけることが可能なので、いつまでも約定できずに待たされる、といったことが防げます。
なお、この板に表示されているのは指値注文だけです。成行注文はすぐ約定されてしまうので表示されません。
したがって、板では買い手が多いと見えていても、大量の売りの成行注文が入って暴落してしまうということもありえます。
取引時間内に売買をするなら、「歩み値(あゆみね)」も併せてチェックするようにしましょう。
「歩み値」は板情報とは異なり、実際に成立した取引情報が載っているので、約定した値段と株数を見ることができます。
保有株は少しずつ売ってリスクヘッジ!
売る時には利益確定の売りや損切りの売りがありますが、利益確定の売りで一つ覚えておきたい方法があります。
それは保有している全ての株を売らずに、半分だけ売るという方法です。
具体例を示しましょう。
株価が1株500円の銘柄Aを200株購入しました。購入金額は10万円となります。その後、株価が1000円に上昇しました。ここで200株全て売れば20万円となり、利益が10万円出ます。
しかし、銘柄Aがさらに1500円、2000円と上昇した時にその上昇分の利益を得ることができなくなります。そうならないためにも持ち株の半分だけを売るという方法を使います。
株価が1000円に上昇した時に先程は200株売りましたが、今回は半分の100株だけ売ります。そうすると10万円を手に入れて、銘柄Aが100株残ることになります。
現時点での利益確定額は5万円と先程より少ないですが、この方法にはメリットがあります。それは元本の確保と利益をさらに伸ばす可能性が残るというものです。
銘柄Aを200株購入するために使用した金額は10万円。株価1000円の時に100株売ると10万円手元にきます。
これで元本が確保できるため、残りの100株が極端な話倒産して紙くずになったとしても元本を毀損することはありません。
さらに1500円、2000円と株価が上昇した場合、利益も10万円、15万円と1000円の時に売るより利益を伸ばすことができます。
いきなり保有株を全て売ってしまったりせずに、半分だけ売るなど状況に応じて判断しましょう。
株はいくらで買える?株の売買単位って?
株が取引きされる数量には最低限の単位があります。これを最低売買単位といいます。
例えばA株の株価が500円だったとして、単純に500円支払えば購入できるというわけではありません。
Aの最低売買単位が「1000株」だとすると、500×1000=50万円で購入することになります。
売買単位は銘柄によって異なります。1株から購入できる銘柄もあれば、10株単位、100株単位など様々です。
また、物価には単位があり、1株あたりの売り買いの値段を「呼び値」といいます。
<補足>
TOPIX100とは、東証一部上場銘柄の中でも、時価総額が大きく流動性の高い大型株の値動きを示す株価指数のことです。「Core30」と「Large70」に採用されている100銘柄からなり、年に1回、10月に見直しが行われます。
TOPIX100に指定されている銘柄は、さらに細かく呼び値が定められています。
例を2つ挙げます。
株価が100円であった場合は、『99円』、『100円』、『101円』など、呼び値の単位は1円単位で注文を出すことができます。
株価が2,500円であった場合は、『1,995円』、『2,000円』、『2,005円』など、呼び値の単位は5円単位で注文を出すことができます。
しかし、呼び値は5円単位のため、『2,001円』という注文は出せません。
株価の水準によって、売買する際の価格の刻み幅が決まってきます。これを呼び値といいます。
- 注文方法には「成行注文」と「指値注文」「逆指値注文」がある。
- 板情報で、現在どの値段に何株の注文が入っているのか一目で分かる!
- 株が取引きされる数量には最低限の単位がある。また、物価には単位があり、1株あたりの売り買いの値段を「呼び値」という。